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【なろう感想】その勇者、虚ろにつき

その勇者、虚ろにつき

剣と魔法の世界、魔王との戦争に明け暮れる同盟四国の一国、ノル国は国秘とされる召喚魔術により、現代世界より呼び寄せた勇者で魔王を倒そうとする。

しかし、現れた勇者は心持たぬ虚ろの怪物。魂に空洞を宿す連続殺人鬼だった。

その勇者に願うな。
例え、諦められぬ願いがあろうとも。

その勇者にすがるな。
例え、絶望の淵にあろうとも。

その勇者に挑むな。
されど、人は生き抜くために闘いを選ぶ。

これは世界を救おうとする勇者の物語。
これは世界を護ろうとする英雄達の物語。

 

勇者召喚されたのは連続殺人鬼

この作品の主人公は死刑判決を受けている裁判の最中に異世界勇者召喚されます。

 

独自のポリシーを持つ知的なサイコパス

連続殺人鬼というワードを目にすると、どうしようもなく悪辣で下品な殺人鬼や目的のためならば手段を選ばない冷徹な殺人鬼などがイメージできますが、どちらかといえばこの作品の主人公は後者です。

 

私のイメージ的には「羊たちの沈黙」シリーズなどで知られるアンソニー・ホプキンス演じるハンニバル・レクター博士や「ノー・カントリー」で出てきたバビエル・バルデム演じる「殺し屋」シガーが読んでいて頭に浮かびました。

 

 

羊たちの沈黙

羊たちの沈黙(字幕版)

ハンニバル・レクターアンソニー・ホプキンス

知的な犯罪者・殺人鬼として真っ先にイメージが浮かぶ方ですね。ホプキンスの飄々とした演技も相まって非常に魅力的なキャラクターです。

 

 

「ノー・カントリー」

ノーカントリー (吹替版)

 

アントン・シガー(バビエル・バルデム)

※パッケージ中央の人物

 

知名度レクター博士よりも劣ってしまうかもしれませんが、強烈なキャラクターとして私の頭に残っています。

 

独自のポリシーを持つ殺し屋で使用する武器が珍しく、不気味さを引き立てます。家畜を安楽死させる時に使用する家畜銃ピストルと呼ばれるものを愛用?しているのですが、この武器がかなり印象的です。

 

加えて、かなり体格の良いシガーなわけですが、髪型がオカッパっぽい感じでこのキャラクターのサイコ感が強調されていると感じました。

 

願いを叶えるorその逆を成すか 究極の二択

「人に頼られた時、それを叶えるか、あるいは逆を成すか、それを目の前の偶然性の二択に委ねる、そう決めました」

 

「僕の元いた世界で、僕を頼る人全てにその方法を用いました。
石を投げ、それが右に落ちたので求められるまま人を助け、左に落ちたら無惨に殺す。
不意に見た時間が偶数だったら求められるまま人を救い、奇数だったら奈落へ突き落とす。
その場で偶然の二択を決め、それに従い希望を叶えるか真逆を成す。
それをし続けて、気がつけば法廷で死刑判決を受けていました。最も、その日の裁判官のネクタイが赤色だったので判決には従わないことにしましたが」

※その勇者、虚ろにつき プロローグ2 肉塊

 

台詞を引用させて頂きました。主人公は異世界に召喚される前からこのような独自のルールに従って行動をしていたようです。

 

映画や小説の登場人物に限らず独自の考え方やポリシーを持つ人は魅力的だと思います。

 

この作品の主人公の持つルールは現実ならば完全アウトですが、物語としてならばとても興味を引く設定だと思います。

 

小説家になろうでは珍しく、かなりダークな作品となっております。異世界で主人公はどのような願いに遭遇するのか、そして異世界の人々は彼に何を願うのか、今後の更新が楽しみな作品です。