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【おぞましい寄生虫感染ホラー漫画】マンホール|著筒井哲也 感想

 

 

 

 

 

あらすじ

12月のある夕暮れ、神奈川県笹原市の中央商店街に、右目が白濁した泥だらけの全裸の男が出現。道を行く大学生の男に「マ、マ」と語りかけた後突如吐血した。男はパニックに陥った大学生によって押し倒され、後頭部を強打して死亡した。検死に回されたその男の遺体から検出されたのは、謎の寄生虫だった。

 

筒井哲也先生の【マンホール】を読んだので感想を書いていきたいと思います。

生田斗真さんが主演で実写化された【予告犯】はご存知の方も多いのではないでしょうか。予告犯もマンホールと同じく筒井作品です。

 

寄生虫が原因の感染パニック漫画?

神奈川県のある地域を舞台に謎の寄生虫による感染被害が拡大していきます。感染された人間は死ぬわけではありませんが、自律的に生活が困難になり、痴呆症末期の老人のような状態になってしまいます。

 

痴呆症末期…つまり、ボケているような状態になってしまうので、結果的に道路に飛び出したり、高所から落下してしまい死んでしまうといった描写はあります。

寄生虫は人間の脳のある部分を食し、欲求を奪う

漫画の後半に寄生虫は「フィラリア」と明記されています。

フィラリアは人間の脳の視床下部、その外側部を好んで食す。その部分は、人間の欲望を司り、例えば食欲を感じれば、そこが激しく「発火」するのだという。

感染した人間は右目が白濁し、その中に無数のフィラリアが寄生しています。苦手な人はかなりきつい描写だと思うので、読もうと思っている方はご注意ください。

 

犯人はこのフィラリアによって人間の欲求を抑え、犯罪者を真人間に更生させ、世の中を変えていこうとします。この目的自体には犯人なりの正義が込められている…それは分かりますが、ゾンビのようにはなりたくないですよね…(笑)

 

犯人は「自己の欲望と折り合いをつけ規則正しく行動するものだけがこのフィラリアと共存できるのだ」と作中内で発言しています。しかし、私が読んだ感想として、寄生されたらほぼ助かる見込みはないといえるでしょう。

 

脳の寄生虫を取り除く手段が思いつきません…薬とかで徐々に死滅させるとか?どちらにせよ規制される前の正常な脳を持つ状態には戻れないと思います。 

犯人の動機

完全なネタバレですが四年前に起こった、とある暴行事件。それが犯人の男の動機となります。その暴行事件の被害者が実は犯人の孫娘だったのです。

 

命は助かったものの、変わり果てた孫娘の姿に絶望。その後、男は献身的に孫娘を介護していました。しかし、暴行を行った犯人から事件の詳細を記録したテープを送りつけられ、それを見てしまいます。

 

【マンホール】の犯人はこの件をきっかけに今回の寄生虫事件引き起こします。

 

衝撃のラスト、そこに救いは無い

犯人の動機を知り、何故このような事件を起こし、寄生虫を用いたのか、読み進めていく内に理解できました。結末を読んでの解釈は人それぞれだと思いますが、私は最悪の読後感でした。読み終えたあとの後味の悪さが今でも頭に残っています。

 

この【マンホール】は犯人を突き止めたり、犯人との直接攻防があるような漫画ではありません。それどころか作中で、犯人は早い段階で捜査上に浮上します。

 

その動機や心情、巻き込まれた被害者達、そして事件を追う刑事の葛藤。心理面のドラマがこの漫画の醍醐味だと私は思います。

 

是非、気になった方は読んでみてください。

それではまた次回。